○伊勢崎市議会基本条例
令和4年3月24日条例第2号
伊勢崎市議会基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の責務及び活動原則(第2条―第4条)
第3章 議会運営の原則(第5条―第9条)
第4章 市民に開かれた議会(第10条―第14条)
第5章 市長等との関係(第15条―第18条)
第6章 議会の機能強化(第19条―第23条)
第7章 災害時の対応(第24条)
第8章 議員の政治倫理(第25条)
第9章 最高規範性並びに条例の検証及び見直し(第26条・第27条)
附則
私たちの伊勢崎市は、美しく雄大な赤城山を背に広大な関東平野が広がり、そこには利根川をはじめ幾筋もの川が流れ、大小様々な池沼が点在しております。恵まれた自然環境の中で古代東国文化の中心地として栄えるなど悠久の歴史と文化を育んできました。
近世以降は養蚕業や伊勢崎銘仙など織物産業の一大産地となり、今では商工業を中心とした産業都市として、また、群馬県内有数の農業産出額を誇る農業都市として、調和のとれた発展を続けております。そして、このまちには、全国でも有数の外国籍の住民など多様な人々が暮らしております。
伊勢崎市議会は、私たちの住むまちで、全ての市民が健康で文化的な暮らしを営めるよう、孤立や排除を生み出さず、地域社会で共に支え合うソーシャルインクルージョンの理念に基づき、「チーム議会」として活動します。それにより共生社会の推進及び住民生活の更なる向上並びに歴史、伝統及び文化の伝承を基とした伊勢崎市の均衡ある発展を目指します。
大局的な視点を持ちつつ、日々の政策課題と正面から向き合い、市民の負託に全力で応えるという強い決意の下、「議論を尽くす議会」「休むことのない議会」「誰もが参加できる開かれた議会」「専門性のある議会」を目指して、ここに伊勢崎市議会基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、伊勢崎市議会(以下「議会」といいます。)及び伊勢崎市議会議員(以下「議員」といいます。)の責務、活動原則その他の議会に関する基本的理念及び事項を定めることにより、議会が政策立案機能及び行政運営に対する監視機能を十分に発揮し、伊勢崎市民(以下「市民」といいます。)の負託に応え、もって市民の福祉の向上及び伊勢崎市政(以下「市政」といいます。)の発展に寄与することを目的とします。
第2章 議会及び議員の責務及び活動原則
(議会の責務及び活動原則)
第2条 議会は、市民の代表から構成される市の議事機関かつ団体意思の決定機関として、公正性、透明性及び市民からの信頼性を重視する責務を負います。
2 議会は、地域の特性を生かした新しい地域づくり及びソーシャルインクルージョンの理念に配慮し、活動します。
3 議会は、多様な市民意思の把握に努め、議会として政策立案に努めます。
4 議会は、常に市民の立場に立ち、行政運営を監視及び評価します。
(議員の責務及び活動原則)
第3条 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを認識し、議員相互の自由な討議を尊重しなければならないものとします。
2 議員は、市政全般についての課題、市民の多様な意見等を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんに努め、市民の代表にふさわしい活動をしなければならないものとします。
3 議員は、市民全体の利益を勘案して活動をしなければならないものとします。
4 議員は、自らの議会活動について、市民に対する説明責任を果たすものとします。
(会派)
第4条 議員は、議会活動を行うため、政策を中心とした同一の理念を共有する複数の議員で構成する会派を結成することができます。
2 会派は、政策決定、政策提言、政策立案等に際して、会派間での調整を行い、合意形成に努めるものとします。
第3章 議会運営の原則
(本会議及び委員会の公開)
第5条 議会は、原則として、全ての本会議及び委員会を公開します。ただし、公開しない場合にあっては、その理由を明らかにしなければならないものとします。
2 議会は、前項本文の規定により公開する本会議及び委員会の開催についてあらかじめ市民に周知するよう努めます。
(討議の原則及び意見集約)
第6条 議会は、議決に当たっては議員間の公平で自由な議論を尽くします。
2 議会は、原則として、委員会を中心に議員間討議を行うことができます。
3 議長及び委員長は、前2項の規定に基づき本会議及び委員会を運営し、その結果を市政に反映させられるよう意見集約に努めるものとします。
(議会運営委員会)
第7条 議会は、円滑な議会運営のため、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」といいます。)第109条第1項に規定する議会運営委員会を活用します。
(協議等の場)
第8条 議会は、法第100条第12項の規定による協議又は調整の場として、次に掲げる会議を活用します。
(1) 議員協議会
(2) 会派代表者会議
(委員会活動)
第9条 委員会は、議案等の審査及びその所管に属する事務の調査の充実を図ることにより、その設置目的が十分に発揮されるよう活動を行うものとします。
2 委員会は、議会の閉会中においても、積極的な活動を行うものとします。
第4章 市民に開かれた議会
(請願及び陳情)
第10条 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案と位置付け、真摯に取り扱います。
2 議会は、必要に応じて、請願者又は陳情者の意見陳述等を行う機会を設けます。
(広報及び広聴)
第11条 議会及び議員は、市民への情報提供等の広報広聴活動の充実により、市民に対する説明責任を果たし、その負託に応えるものとします。
2 議会は、議会の広報紙(以下「議会報」といいます。)の内容及び紙面の構成を含めて、見やすく、市民に愛される議会報づくりを目指します。
3 議会は、市民に分かりやすい情報発信に努め、不断に議会報及びホームページの充実を図ります。
(意見交換会の実施)
第12条 議会は、必要に応じて、市民との意見交換会を開催して、市民の声を議会運営の改善や政策提言に活用します。
(情報公開)
第13条 議会は、伊勢崎市情報公開条例(平成17年伊勢崎市条例第17号)の規定による行政情報の公開請求に適切に対応するとともに、議案に対する議員の賛否を公表する等、議会が保有する情報の公開に努めます。
2 議会は、原則として、会議録及び委員会の記録を閲覧できるようにしなければならないものとします。
(共生社会の推進)
第14条 議会は、バリアフリー及びユニバーサルデザインを基本とし、市民誰もが参加できる議会を目指します。
2 議会は、手話の普及活用その他の情報保障の充実に努め、市民誰もが分かりやすい議会を目指します。
第5章 市長等との関係
(質問及び質疑)
第15条 本会議における質問及び質疑は、一括質問一括答弁の方式又は一問一答の方式によるものとし、論点を明確にして行うものとします。
(反問権)
第16条 市長その他の執行機関及びその職員(以下「市長等」といいます。)は、議員からの質問及び質疑に対して、その論点を整理するため、本会議にあっては議長の、委員会にあっては委員長の許可を得て反問することができます。
(政策提案等の説明)
第17条 議会は、市長が提案する重要な政策について、その政策水準を高めるため、市長に対して次に掲げる事項について説明を求めることができます。
(1) 政策の根拠
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 総合計画における位置付け
2 議会は、予算及び決算の議案を審議するに当たり、前項の規定に準じて、政策別又は事業別の分かりやすい説明を求めることができます。
(議決事件の追加)
第18条 議会は、法第96条第2項の規定により、同条第1項に規定する事件のほか必要な事件を議決事件として追加することができます。
2 議会は、前項の規定により議決事件を追加し、又は追加した事件を削除する場合は、その理由及び根拠を明確にしなければならないものとします。
3 議会で議決すべき事件は、別に条例で定めます。
第6章 議会の機能強化
(議会改革並びに議会機能の強化及び充実)
第19条 議会は、社会環境、経済情勢等の変化により生じる市政の課題や市民要望に適切かつ迅速に対応するため、継続的な議会改革に取り組み、議会機能の強化及び充実を図ります。
(議会事務局体制の強化)
第20条 議会は、議員の資質の向上を図り、議会運営を円滑かつ効率的に進めるため、議会事務局の調査機能の充実及び組織体制の整備に努めます。
2 議会は、議会事務局の法務機能の強化を図ります。
3 議会事務局は、議員の議会活動に必要とされる情報の提供に努めるものとします。
4 議会事務局は、法第138条第5項に鑑み、市長等からの独立性を保持するものとします。
(専門的知識の活用)
第21条 議会は、審査又は調査に当たり、法第100条の2の規定による学識経験を有する者等による専門的事項に係る調査を積極的に活用するよう努めます。
(議会図書室の充実)
第22条 議会は、議員の調査研究及び政策立案等の能力向上を図るため、議会図書室の充実及び機能の強化に努めるとともに、その有効活用を図ります。
(政務活動費)
第23条 会派又は議員は、政策立案等の能力向上を図るため、別に条例で定める政務活動費を有効に活用し、政務活動の充実に努めるものとします。
2 議長は、政務活動費に係る収支報告書等を公表し、その使途の透明性の確保に努めるものとします。
第7章 災害時の対応
第24条 議会は、大規模災害が発生し、伊勢崎市災害対策本部(伊勢崎市災害対策本部条例(平成17年伊勢崎市条例第24号)に基づき設置される災害対策本部をいいます。以下この条において「対策本部」といいます。)が設置された場合において、次のとおり対応します。
(1) 議員による協議、調整等を行うための組織を設置します。
(2) 被災状況等の情報をとりまとめ対策本部に伝えます。
(3) 必要に応じて、対策本部に提案、提言、要望等を行います。
2 議会は、大規模災害発生時における議会及び議員の対応及び行動基準を別に定めます。
第8章 議員の政治倫理
第25条 議員は、市民の厳粛な負託を受けていることを深く自覚し、市民全体の代表者として常に良心と高い倫理性を持って職務に精励するものとします。
第9章 最高規範性並びに条例の検証及び見直し
(最高規範性)
第26条 この条例は、議会における最高規範であり、議会に関する条例その他の規程を制定改廃する場合は、この条例の趣旨を尊重し、この条例に定める事項との整合を図るものとします。
(条例の検証及び見直し)
第27条 議会は、一般選挙後その任期中、この条例の目的が達成されているかどうかを検証し、その結果を市民に公表します。
2 議会は、前項の規定による検証の結果、制度の見直しが必要な場合には、この条例の改正も含めて、適切な措置を講じます。
附 則
この条例は、次の一般選挙により選挙された議員の任期の始まる日から施行します。