なくそう!望まない受動喫煙
「望まない受動喫煙」をなくすため、平成30年7月に改正・公布された「健康増進法」が、令和2年4月1日より全面施行となりました。これにより、飲食店など原則屋内禁煙となります。
受動喫煙とは
受動喫煙とは「室内またはこれに準ずる環境において、たばこを吸わない人が、他人のたばこの煙を吸わされること」と定義されています。喫煙の煙に含まれる有害物質は、喫煙者が肺に直接吸い込む「主流煙」よりも、吸っていないときに立ち上る「副流煙」に多く含まれています。
喫煙が、あらゆるがんや脳卒中、心筋梗塞などの病気を引き起こすことは広く知られていますが、煙草を吸わない人の受動喫煙についてはほんのわずかであっても、病気のリスクが急激に増加することが明らかになっています。また、年間1万5千人が受動喫煙で亡くなっていると推測されています。(厚生労働省、「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」より)
これまでの受動喫煙対策
平成15年5月、健康増進法が施行され、多数の者が利用する施設の管理者に対し受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずる努力義務が課せられました。これにより、銀行や郵便局の窓口など多くの施設が禁煙化され、国民の受動喫煙への関心や受動喫煙防止対策に一定の効果をもたらしました。
平成25年9月、オリンピック・パラリンピック開催が決定され、競技会場及び公共の場における受動喫煙防止対策を強化することが基本方針(閣議決定)に明記されました。これを踏まえ、「受動喫煙防止対策強化検討チーム」が設置され、検討が進められました。
改正健康増進法について
改正の概要について
- 基本的な考え方(1)「望まない受動喫煙をなくす」
屋内で受動喫煙にさらされることを望まない人がそのような状況に置かれることがないように「望まない受動喫煙」をなくします。 - 基本的な考え方(2)受動喫煙に影響が大きい子ども、患者などに特に配慮
子どもなど20歳未満の人、患者等が主に利用する施設(学校、病院等)や屋外について、受動喫煙対策を一層徹底します。 - 基本的な考え方(3)施設の種類・場所ごとに対策を実施
施設の種類・場所ごとに、敷地内禁煙・屋内禁煙にすることや喫煙場所の案内を掲示することなどが義務づけられます。その際、既存の飲食店のうち経営規模が小さい事業所が運営するものについては、事業継続に配慮し、必要な措置を行います。
改正健康増進法の施行スケジュール
年月日 | 内容 |
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平成31年1月24日 | (1)一部施行 国と地方公共団体が、受動喫煙防止に必要な措置を総合的に推進。
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令和元年7月1日 | (2)一部施行 敷地内禁煙となる学校や病院、児童福祉施設等、行政機関などを規制開始。 |
令和2年4月1日 | (3)全面施行 原則屋内禁煙となる飲食店や事務所などの規制を含め全面施行。 |
第1種施設:学校、病院、児童福祉施設、行政機関のルール
令和元年7月1日から「敷地内禁煙」となりました。ただし、屋外で必要な措置がとられた場合に限り「特定屋外喫煙場所」を設置することができます。
「特定屋外喫煙場所」とは、以下の必要な措置がとられた場所です。
- 喫煙する場所が区画されていること
- 利用者が通常立ち入らない場所であること
- 喫煙場所と認識できる標識が掲示されていること
- 近隣等への配慮がなされていること
第1種施設の例
学校、教育施設、病院、診療所、薬局、介護老人保健施設、介護医療病院、施術所(あん摩マッサージ、はり、きゅう、受動整復師が業務を行う場所)、児童福祉法に基づき実施される事業の施設(障害児通所支援事業、児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、一時預かり事業など)、児童福祉施設、保健センター、認定こども園、国及び地方公共団体の行政機関の庁舎など
第2種施設:多くの人が利用する全ての施設のルール (注意)第1種施設と飲食店を除く
令和2年4月1日から原則「屋内禁煙」となります。
第2種施設に該当する「多数の人が利用する施設」とは、2人以上の人が同時または入れ替わりで利用する施設のことです。
第2種施設の例
事務所、工場、ホテル、旅館、体育館、スポーツ施設、劇場、観覧場、集会所、公民館、展示場、理・美容院、娯楽施設、銭湯など
(注意)ただし、個人の自宅やホテルの客室など、人の住居のように供する場所、喫煙を主目的とするスナック、たばこ販売店などで要件を満たした場合は除かれます。
なお、第2種施設において、用件を満たした喫煙専門室などを設置した場合に限り、屋内での喫煙が認められます。また、事業者が受動喫煙対策(喫煙専門室の設置など)を行う際の費用助成や、税制上の優遇を受けられる制度が整備されています。
事業者の皆さんへの財政・税制支援等ついて(厚生労働省)(外部サイトに移動します)
飲食店のルール(第2種施設)
令和2年4月1日から、原則「屋内禁煙」となりますが、既存の飲食店のうち、中小企業や個人が経営する店舗であり、資本金5,000万円以下 かつ客席面積100平方メートル以下の飲食店には経過措置があります。
経過措置により屋内で喫煙を可能とした場合
- 喫煙可能施設であることを掲示しなければなりません
- 客・従業員ともに20歳未満の人を喫煙スペースに立ち入らせることはできません
喫煙エリアの標識掲示
16種類の「標識」印刷用データ(厚生労働省)(外部サイトに移動します)
20歳未満は立ち入り禁止
- 20歳未満の人については、喫煙を目的としない場合であっても、従業員であっても、喫煙エリア(屋内、屋外を含めたすべての喫煙室、喫煙設備)への立ち入りが禁じられます。
- 施設管理者は、喫煙エリアに20歳未満の人を案内してはならないほか、20歳未満の従業員を喫煙エリアに立ち入らせて業務を行わせることはできません。
- 20歳未満と思われる人が喫煙エリアに立ち入ろうとしている場合は、声がけや年齢確認により、20歳未満の人を喫煙エリアに立ち入らせないようにすることが必要です。
- 20歳未満の人を喫煙エリアに立ち入らせた場合、施設管理者は罰則の対象となります。
配慮義務について
平成31年1月24日から、喫煙する場合の配慮義務が法律で定められました。
1.屋外や家庭などで喫煙する際の配慮義務
- たばこを吸う人は、望まない受動喫煙が生じないよう配慮する義務があります。
- できるだけ周囲に人がいない場所で、喫煙するように配慮しましょう。
- 子どもや病気の人がいる場所では、喫煙しないように配慮しましょう。
2.喫煙場所を設置する際の配慮義務
- 喫煙場所は、施設の出入り口付近や利用者が多く集まるような場所には設置できません。
- 喫煙室を設けた場合のたばこの煙の排出先は、通行量や周囲状況に配慮しましょう。
受動喫煙防止対策に関する相談先
厚生労働省の委託事業として、労働衛生コンサルタント等の専門団体が喫煙室設置等に関する無料相談を行います。
厚生労働省委託先「一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会」(外部サイトに移動します)
関連リンク
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更新日:2021年05月24日