平成29年度からの税制改正
給与所得控除額の改定
平成26年度税制改正において、給与所得控除が見直され、給与所得控除の上限が適用される給与収入1,500万円(控除額245万円)を「平成28年分は1,200万円(控除額230万円)に、平成29年分以後は1,000万円(控除額220万円)に引き下げる」こととされました。
平成28年分の所得税(市民税・県民税については平成29年度に適用)
- 上限額が適用される給与収入=1,200万円
- 給与所得控除の上限額=230万円
国外に住む扶養親族の控除書類などの添付・提示義務化
平成27年度税制改正において、平成29年度以降の市民税・県民税の申告や所得税の確定申告の際、国外に住む親族について扶養控除などの適用を受ける場合には、親族関係書類および送金関係書類を添付又は提示することになりました。
金融所得課税の一体化
平成25年度税制改正において、公社債の課税の方式が、株式等の課税方式と一体化することとされました。また、特定公社債等の利子および譲渡損益並びに上場株式等の金融商品間の損益通算範囲を拡大し、3年間の繰越控除ができることとされました。
所得税は平成28年分、市民税・県民税は平成29年度から適用されます。
公社債の課税方式の変更
公社債については、特定公社債等と一般公社債等に区分した上で、課税方式が変更されます。なお、特定公社債とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債、平成27年12月31日以前に発行された公社債などの一定の公社債をいいます。
- 特定公社債等の利子は、源泉分離課税(所得税15%、住民税5%)から申告分離課税(所得税15%、住民税5%)に統一されます。
- 一般公社債等の利子等については、20%(所得税15%、住民税5%)の源泉分離課税が維持されます。
- 特定公社債等の譲渡益については、非課税から20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税に課税方法が変更されるとともに、税制上、上場株式等と同様な取扱とされます。(損益通算、繰越控除が可能)
- 平成28年1月1日以後行う割引債の償還および譲渡については、20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税とされます。平成27年12月31日以前に発行された償還佐伯が発行時に源泉徴収の対象とされたものについては、18%の源泉分離課税(所得税18%、住民税非課税)が維持されます。
特定公社債等
特定公社債、公募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の公募公社債投資信託の受益権、特定目的信託の社債的受益権で公募のもの
一般公社債等
特定公社債以外の公社債、私募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の私募公社債投資信託の受益権、特定目的信託の社債的受益権で私募のもの
税率等
内容 | 所得区分 | 公社債等 |
---|---|---|
利息利子 | 利子所得 | 源泉分離課税(申告不要)、20%(所得税15%、住民税5%) |
売却益・譲渡損益 | 譲渡所得 | 非課税 |
償還差益 | 雑所得 | 総合課税。所得税5%~45%超過累進課税、住民税10%(市民税6%、県民税4%)。ただし、割引債は発行時18%の源泉分離課税(所得税18%、住民税非課税) |
内容 | 所得区分 | 特定公社債等 | 一般公社債等 |
---|---|---|---|
利息利子 | 利子所得 | 申告分離課税。20%(所得税15%、住民税5%)。源泉徴収あり特定口座は申告不要 | 源泉分離課税(申告不可)。20%(所得税15%、住民税5%) |
売却益・譲渡損益 | 譲渡所得 | 申告分離課税。20%(所得税15%、住民税5%)。源泉徴収あり特定口座は申告不要。確定申告により3年間損失の繰越控除が可能 | 申告分離課税。20%(所得税15%、住民税5%) |
償還差益 | 雑所得 | 売却益・譲渡損益と同様 | 売却益・譲渡損益と同様 |
注意事項
- 所得税においては、平成25年分から2.1%の復興特別所得税が創設され、確定申告や源泉徴収の際には、基準所得税の額に2.1%の税率を乗じて計算した税額が課税されます。
- 特定口座を開設している場合、平成28年1月1日以降に取得した特定公社債等を、その特定口座へ受け入れることができることとされました。
- 平成28年1月1日以降、特定公社債等の利子等について、利子割(住民税5%)の課税対象から除外され、配当割の課税対象とされます。
- 源泉徴収選択特定口座内の特定公社債等の譲渡所得として申告した場合、株式等譲渡所得割の課税対象とされます。
損益通算・繰越控除・分離課税制度の改組
従来可能であった「上場株式等」と「一般株式等(未上場株式等)」の間での損益通算ができなくなります。平成28年1月1日からは、次の区分による別々の分離課税制度に改組されます。
区分 | 各区分内の損益通算 | 各区分内の繰越控除 |
---|---|---|
特定公社債および上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税(申告分離課税を選択された上場株式等の配当所得との損益通算も可能) | できる | できる |
一般公社債等および一般株式等(未上場株式等)に係る譲渡所得の分離課税 | できる | できない |
上場株式等の配当所得等の課税方式の選択
上場株式等の配当所得等や上場株式等の譲渡所得等は、所得税の確定申告書とは別に、市民税・県民税申告書を提出することにより、所得税と異なる課税方式を選択できることになりました。(例:所得税は総合課税、市民税・県民税は申告せずに源泉分離課税とするなど) なお、所得税と異なる課税方式を選択する場合は、納税通知書が届く日までに、市民税・県民税申告書を提出する必要があります。
更新日:2018年02月13日