行政不服審査制度の概要
行政不服審査制度とは
行政不服審査制度は、行政庁による違法・不当な処分により国民(市民)の権利利益が侵害された場合に、公正な手続の下で、その簡易迅速な救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保するための制度です。
処分に関与しない職員(審理員)が、不服申立て(審査請求)の審理手続を行い、審査請求人と処分庁(処分を行った行政庁)の主張を公正に審理します。さらにその結果を踏まえ、審査庁(審査を行う行政庁)が有識者からなる第三者機関(行政不服審査会)に判断の妥当性のチェックを受けた上で裁決を行います。
行政不服審査制度の特徴
行政不服審査制度は一般に、行政訴訟と比較すると、次のような特徴があります。
- 簡易迅速な手続により国民(市民)の権利利益を救済することができること
- 費用がかからないこと(例えば、行政事件訴訟とは異なり申立ての手数料が不要です。)
審理のために提出された関係書類等の写しの交付を受ける場合を除きます。 - 処分が違法であるか否かにとどまらず、不当であるか否かについても審理することができること
- 不服申立てを契機として、行政が自ら処分を見直すことで、行政の適正な運営を確保することができること
行政不服審査制度の対象
法に基づく不服申立ては、原則として、全ての行政庁の「処分」および法令に基づく申請に対する不作為が対象となります。ここにいう「処分」とは、いわゆる行政処分のほか、公権力の行使に当たる行政庁の行為も含まれます。
ただし、法に定める一般的な規定を適用することになじまない処分等については、対象外とされているほか、処分の根拠等を定める個々の法律(以下「個別法」という。)に法に基づく不服申立制度の対象外とする旨の規定が置かれている場合があります。
不服申立ての種類
法に基づく不服申立ての原則は、「審査請求」です。
ただし、処分についての不服申立てに関しては、例外的に、個別法に特別の定めがある場合には、審査請求の前に処分庁に対して行う「再調査の請求」や、審査請求の後に更に別の行政庁に対して行う「再審査請求」をすることができます。
不服申立てを行うことができる者
処分についての審査請求は、「行政庁の処分に不服がある者」がすることができます。この「不服がある者」とは、行政庁の違法または不当な処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害されまたは必然的に侵害されるおそれのある者をいい、当該処分について審査請求をする法律上の利益がある者、すなわち、行政事件訴訟法9条の定める原告適格を有する者の具体的範囲と同一です。
不作為についての審査請求は、「法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者」のみがすることができます。
不作為とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内になんらかの処分その他の公権力の行使に当たる行為をすべきにもかかわらず、これをしないことをいいます。
審査請求の方法
審査請求をする場合は、法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、審査請求書を提出してください。
審査請求書の記載事項
処分についての審査請求書には、次の事項を記載してください。
- 審査請求人の氏名および住所または居所
- 審査請求に係る処分の内容
- 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
- 審査請求の趣旨および理由
- 処分庁の教示の有無およびその内容
- 審査請求の年月日
不作為についての審査請求書には、次の事項を記載してください。
- 審査請求人の氏名および住所または居所
- 当該不作為に係る処分についての申請の内容および年月日
- 審査請求の年月日
審査請求人が法人等である場合は、代表者等の氏名および住所(居所)を記載の上、その資格を証する書面を添付してください。
審査請求書には、審査請求人(審査請求人が法人等である場合は、代表者等)の押印が必要です。
審査請求書の提出先
審査請求書の受付は、本市では審査請求に係る処分の担当課で行います。
審査請求書の宛名は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、市長が処分庁であるときは、市長になります。(市長が処分する権限を他の行政庁に委任している場合も同様です。)
法定受託事務に係る処分については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、群馬県知事等に対して審査請求をしてください。
審査請求ができる期間
処分についての審査請求は、正当な理由があるときを除き、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内にすることができます。
正当な理由があるときを除き、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができません。
行政不服審査に関する手数料
審査請求人または当該審査請求に参加する人は、審理のために提出された資料の閲覧および写しの交付を請求することができます。ただし、審理員等および伊勢崎市行政不服審査会から関係資料等の写しの交付を受けたい場合には、次のとおり手数料を納付していただくこととなります。
A3までの大きさのもの
- 白黒 10円
- カラー 50円
経済的困難等の特別な理由により手数料を納付する資力がない場合には、手数料が減免されます。
送付による交付を希望する場合は、手数料のほかに、当該送付に必要な費用を負担していただきます。
請求から裁決までの流れ
1 審査請求書の提出(審査請求人→審査庁)
審査請求をする場合は、処分の担当課(審査庁)に対して「審査請求書」を提出してください(電話、ファクシミリ又は電子メールでの提出はできませんのでご注意ください。)。
具体的な方法等は、上記を参照してください。
2 形式審査(審査庁)
審査庁は、審査請求書に必要な記載事項が記されているかどうかなどを審査し、不備がある場合には補正などの手続をとります。
3 審理員の指名(審査庁→審理員)
審査庁は、審査請求書の受付後、審査請求に係る処分の決定をした職員または審査請求に係る不作為に係る処分に関与する職員等以外の職員を「審理員」として指名し、審理手続を行わせます。
なお、委員会や審議会が審査庁である場合など、審理員が指名されない場合もあります。
審査請求が不適法で審理手続を進めることができない場合は、却下裁決をすることになります。
審理員となるべき者の名簿 (PDFファイル: 43.2KB)
4 審理員の審理手続(審理員)
審査請求に係る審理手続は、審理員が行います。
審理員は、単なる事務処理を行うだけではなく、必要に応じて、審査請求人や処分庁から主張書面および証拠書類等の提出を求め、口頭意見陳述の審理を指揮し、あるいは鑑定等の採否を決定するなどの審理権限があります。
5 弁明書の提出(処分庁→審理員)
処分庁は、審理員の求めによって、「弁明書」を提出します。
弁明書とは、処分についての審査請求の場合は処分の内容や理由を、不作為についての審査請求の場合は処分をしていない理由等を記載したものです。
審理員は、処分庁から弁明書の提出があったときは、これを審査請求人に送付します。
6 反論書の提出(審査請求人→審理員)
審査請求人は、処分庁が作成した弁明書に記載された事項に対する「反論書」を審理員に提出することができます。
審理員は、審査請求人から反論書の提出があったときは、これを処分庁に送付します。
7 審理員意見書の提出(審理員→審査庁)
審理員は、必要な審理を終えたと認めるときは、審理手続を終結し、速やかに、審査請求人に対し、審理手続を終了した旨等を通知するとともに、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する「審理員意見書」を作成し、審査庁に提出します。
8 行政不服審査会への諮問(審査庁→第三者機関)
審査庁は、審理員意見書の提出を受けたときは、原則として第三者機関である「伊勢崎市行政不服審査会」に諮問を行います。
諮問をした審査庁は、審査請求人に対し、諮問した旨を通知するとともに、審理員意見書の写しを送付します。
伊勢崎市行政不服審査会とは
審査庁が行う審査請求に対する裁決の客観性および公正性を高めるため、第三者の立場から、審理員が行った審理手続の適正性等を審査する機関です。
委員は、法律または行政に関して優れた識見を有する外部有識者3名以内で構成されます。
9 行政不服審査会の調査審議(第三者機関)
伊勢崎市行政不服審査会(以下「審査会」といいます。)は、次のことができます。
- 審査請求に係る事件に関し、審査請求人、審査庁に主張書面または資料の提出を求めること。
- 審査会が適当と認める者にその知っている事実の陳述または鑑定を求めることその他必要な調査をすること。
審査関係人(審査請求人または審査庁)は、次のことを審査会に対して行うことができます。
- 審査会が、審査関係人に口頭で意見を述べる機会を与えることを申し立てること。
- 主張書面または資料を提出すること。
- 主張書面等の閲覧または当該書面等の写しの交付を求めること。(審査請求人は、写しの交付に係る費用を負担する必要があります。)
10 行政不服審査会の答申(第三者機関→審査庁)
審査会は、諮問に係る審査が終了したときは、審査庁に答申をします。
審査会は、諮問に対する答申をしたときは、答申書の写しを審査請求人に送付するとともに、答申の内容を公表します。
伊勢崎市は、「行政不服審査裁決・答申検索データベース」(総務省)で公表しています。
行政不服審査裁決・答申検索データベース(総務省)(外部サイトに移動します)
答申状況の確認方法
- 答申検索をクリック
- 【行政不服審査会等の名称】欄に「群馬県伊勢崎市」と入力
- 検索をクリック
11 審査庁の裁決(審査庁→審査請求人)
審査庁は、審査会から諮問に対する答申を受けたときは、裁決を行います。
諮問を要しない場合にあっては審理員意見書が提出されたとき、裁決しようとするとき等に附属機関等の議を経る場合にあっては議を経たときに裁決を行います。
ダウンロード
処分についての審査請求書の様式 (Wordファイル: 36.0KB)
処分についての審査請求書の記載例 (Wordファイル: 39.5KB)
不作為についての審査請求書の様式 (Wordファイル: 35.5KB)
不作為についての審査請求書の記載例 (Wordファイル: 36.0KB)
審理員となるべき者の名簿 (PDFファイル: 43.2KB)
更新日:2022年04月01日