伊勢崎市議会基本条例

更新日:2023年10月16日

伊勢崎市議会基本条例案が可決されました

令和4年3月18日の本会議において、議員提出議案として提出された伊勢崎市議会基本条例案が可決されました。

伊勢崎市議会基本条例とは?

議会における最高規範として位置づけられるもので、議会と議員の活動原則や議会の機能強化などについて明文化しました。さらに、共生社会の推進に向けた決意表明や災害時の対応についての規定を盛り込むなど、時代の要請にも十分応え得る内容としました。

本条例は、伊勢崎市議会が、公平で公正な議論を尽くす議会、不断の努力で休むことのない議会、親しみやすく市民誰もが参加できる開かれた議会、高度な識見に基づいて意思決定ができる専門性のある議会を目指し、そのことにより市民福祉の向上および市政の発展に寄与しようとするものです。

条例制定に至る経緯

議会改革調査特別委員会設置(令和元年6月)

条例制定に向けて協議を行うための特別委員会を設置

  1. 市民の皆様に対してより開かれ、市政への参加意識を持ってもらえるような議会改革につなげる
  2. 議会が何を行っているか分かるような条例を目指す

ことなどを念頭に協議を進めることとした

制定に向けた協議:全13回(令和元年6月~令和3年9月)

  1. 議会改革について他市を視察
  2. 県内他市や本市と同規模の市の制定状況などを確認
  3. 条例に盛り込むべき項目についての検討
  4. 章ごとに条文の内容を検討

パブリックコメント手続の実施(令和3年10月~11月)

伊勢崎市議会基本条例案に対する市民の皆様からの意見を公募

伊勢崎市議会基本条例案可決(令和4年3月)

議員提出議案として提出された条例案を本会議にて可決

伊勢崎市議会基本条例として公布し、令和4年5月1日施行

逐条解説

前文

本条例が伊勢崎市議会の最高法規であることを踏まえ、本市の自然環境、育んできた歴史などに触れながら、伊勢崎市議会としての議会改革に対する思いを「前文」として表現したものです。

第1段落目は、本市の自然豊かな市域と文化的背景を述べています。

第2段落目は、本市の産業の歴史的過程と発展、さらに多様な外国籍住民が暮らしている状況を述べています。

第3段落目は、このように外国籍住民が多いことが本市の特色であることを踏まえつつ、多様な立場の方々全てが健康で文化的な生活を営むことができるよう、伊勢崎市議会が共生社会を推進することにより市の発展を目指していくことを述べています。

第4段落目は、第1~3段落目で述べたような広い視野を持ちながら伊勢崎市議会として目指す姿勢を示し、この条例を制定する決意を述べています。

第1章 総則

第1条

目的を規定した条文です。
議会には政策を立案したり、行政が正しく運営されているかを監視したりする機能があります。本条例に議会と議員の責任や活動原則についてなどの基本的な考え方や事項を定めることでそれらの機能を十分に発揮して市民の負託に応え、市政発展への力になることを目的とすると述べています。

第2章 議会及び議員の責務及び活動原則

第2条

議会の責務及び活動原則を規定した条文です。
議会は、議決機関及び団体意思決定機関として、中立、分かりやすさ、市民からの信頼を重視する責任があること、また全ての人々と分け隔てなく共生して活動すること、市民意思の把握や政策の立案に努めること、行政が正しく運営されているかを監視・評価することを述べています。

第3条

議員の責務及び活動原則を規定した条文です。
議員は、議会が意思や意見を表す場であることや話し合いによって物事を決める場であることを理解し、議員同士の自由な討議を尊重すること、多様な市民意思を把握するとともに自己研さんに努めて市民の代表としてふさわしい行動を意識すること、市民全体の利益を意識しながら活動すること、また、議会活動には市民に対する説明責任があることを述べています。

第4条

会派について規定した条文です。
会派について、政策を中心として同じ考え方を持つ複数の議員で構成するものである、と定義づけています。伊勢崎市議会は政策を立案する時などには会派間での調整や合意形成に努めていくとの活動原則を述べています。

第3章 議会運営の原則

第5条

本会議及び委員会の公開を規定した条文です。
全ての本会議、委員会を原則として公開し、公開しない場合はその理由を明らかにすること、また、開催について周知することを述べています。現在伊勢崎市議会ではホームページや議会広報紙等で次回定例会に関する会議日程予定を周知しています。

第6条

討議の原則及び意見集約を規定した条文です。
本会議での議決や委員会での議案の審査において、議員同士がそれぞれの考えを自由に発言し議論を尽くすこと、議長や委員長はその結果を市政に反映するために意見をまとめるよう努めることを述べています。

第7条

議会運営委員会を規定した条文です。
地方自治法第109条では、議会の運営に関する事項などを調査するために普通地方公共団体の議会に議会運営委員会を設置することが定められています。伊勢崎市議会では、スムーズに議会を運営するためにこの議会運営委員会を活用することを述べています。

第8条

協議等の場を規定した条文です。
地方自治法第100条第12項では、議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場を設けることができると定められています。伊勢崎市議会では、議員協議会や会派代表者会議を協議または調整の場として活用することを述べています。

第9条

委員会活動を規定した条文です。
委員会は能率的・効果的に議案の審査等を行い、設置目的が十分に果たされるよう活動すること、議会閉会中も積極的な活動を行うことを述べています。委員会には、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会があります。

第4章 市民に開かれた議会

第10条

請願及び陳情を規定した条文です。
提出された請願は所管の常任委員会で審査し、その内容の妥当性や施策に反映させるべきか否か等を決め、陳情は全議員に配付するなどして適切に取り扱うことを述べています。
また議会は請願及び陳情を市民からの政策提案として受け止めて請願者や陳情者から直接意見等を聴く場を設けるように努力することを述べています。

第11条

広報及び広聴を規定した条文です。
議会及び議員は、市民からの負託に応えるため、積極的に広報広聴活動を行い、説明責任を果たす必要があることを述べています。
なお、広報媒体の活用にあたり、議会報の作成においては開催された定例会や臨時会の内容を見やすく、分かりやすく市民にお知らせすることを目指し、またデジタル化が進む現状を鑑み、ホームページも分かりやすく充実したものになるよう努めることを述べています。

第12条

意見交換会の実施を規定した条文です。
様々な行政課題について市民と情報や意見を交換し、議会運営をより良くしたり、市へ政策提言を行ったりする際に活かすことを述べています。なお、意見交換会を開催する際には、団体のほか一般市民の方も参加しやすいような方法を考えます。

第13条

情報公開を規定した条文です。
行政情報の公開請求への適切な対応、議会が持っている情報や会議録の公開など、情報公開に努めることを述べています。会議録は現在、市役所市民情報コーナーや図書館等で見られるほか、ホームページ内の会議録検索システムにより検索・閲覧ができます。

第14条

共生社会の推進を規定した条文です。
バリアフリーやユニバーサルデザインを基本としながら市民の誰もが参加できる議会を目指すこと、手話の活用などにより誰でも情報が獲得できる環境を整え、分かりやすい議会を目指すことを述べています。伊勢崎市議会では、平成29年6月定例会において伊勢崎市手話言語条例案を可決した後、手話は言語であるという考えのもと、手話や聾者への理解を広げ、手話の普及促進を図っています。

第5章 市長等との関係

第15条

質問及び質疑を規定した条文です。
本会議での質問及び質疑の際、議員はその発言通告時に一括質問一括答弁方式または一問一答方式のどちらかを選択して発言することを述べています。一問一答方式は、質問・質疑に対する答弁が聞いていて分かりやすいなどのメリットがあり、多くの市議会で運用されています。伊勢崎市議会では令和4年12月定例会から一問一答方式を導入しました。

第16条

反問権を規定した条文です。
反問権とは、議員からの質問等に対してその趣旨を確認するために、市長等が議員に問い返す権利のことです。従来は議員からの質問等に対して答弁するのみでしたが、論点を整理し、議論を深めることを目的に、議長や委員長の許可を得て反問権を行使できることを述べています。

第17条

政策提案等の説明を規定した条文です。
議会が市長に対して、提案された政策の根拠、提案に至るまでの経緯及び伊勢崎市総合計画における位置付けについて説明を求めることができると述べています。また、予算や決算の議案を審議する際も、分かりやすい説明を求めることができると述べています。

第18条

議決事件の追加を規定した条文です。
地方自治法第96条第1項では、条例の制定改廃、予算の決定、決算の認定などを議決事件として定めています。さらに、第2項ではそのほかに普通地方公共団体は議会の議決すべき事件を条例で定めることができるとされていることから、本市では伊勢崎市議会の議決すべき事件を定める条例を定めています。本条例ではその条例で定められたほかにも必要な議決事件を追加でき、追加・削除する場合は、その理由及び根拠を明確に示すことを述べています。

第6章 議会の機能強化

第19条

議会改革並びに議会機能の強化及び充実を規定した条文です。
議会は、常に変化している社会情勢等に伴って生じる課題や市民要望へ対応するために、不断に議会改革に取り組み、議会機能の強化を図っていくことを述べています。

第20条

議会事務局体制の強化を規定した条文です。
議員の資質の向上や議会活動、議会運営の一助とするため、また、議員が議案を提出するために、それぞれ必要となる調査研究及び立法の支援ができるよう議会事務局の組織体制の強化に努めていくことを述べています。さらに、議会事務局の職員は地方自治法第138条第5項に基づき議長が任免することから、事務局は市長等からの独立性を保持していることを述べています。

第21条

専門的知識の活用を規定した条文です。
地方自治法第100条の2には、普通地方公共団体の議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のために必要な専門的事項に係る調査を学識経験を有する者等にさせることができる、と定められており、これに基づき専門的知見を活用することで、議会における審査をより一層深めたものにしていくと述べています。

第22条

議会図書室の充実を規定した条文です。
議員の調査研究や政策立案等のため、議会には図書室を設けなければなりません。伊勢崎市議会の議会図書室には、本会議や委員会などの会議録、地方自治行政に関する刊行物などが配架されているほか、検索機能を備えたパソコンの配備により官報等の政府刊行物や過去の会議内容等の検索も可能にし、必要な情報を議員がスムーズに得られる環境を整え、有効活用を図っています。本条ではさらにその充実及び機能強化に努めていくことを述べています。

第23条

政務活動費を規定した条文です。
政務活動費は、地方議会の活性化や議員の調査研究その他の活動基盤の充実等を図る観点から、これらの活動に必要な経費の一部を助成するもので、会派又は議員は政務活動費を有効に使い、その使い道を明確にすることを述べています。現在ホームページにおいて、政務活動費の支出状況報告書などを四半期ごとに公表しています。

第7章 災害時の対応

第24条

災害時の対応を規定した条文です。
大規模な災害が発生し、伊勢崎市災害対策本部が設置された場合の議会の対応について述べています。また、大規模災害が発生した際の議会及び議員の対応及び行動基準を別に定めることを述べています。

第8章 議員の政治倫理

第25条

議員の政治倫理を規定した条文です。
議員は市民の代表者として、市民からの負託を受けていることをしっかりと認識したうえで、良心と高い倫理性を持って職務を全うしていくことを述べています。

第9章 最高規範性並びに条例の検証及び見直し

第26条

最高規範性を規定した条文です。
本条例が伊勢崎市議会の基本的理念を定めている最高規範であり、議会に関する条例等を定めたり、改正及び廃止したりする場合は、本条例の内容との整合を図ることを述べています。

第27条

条例の検証及び見直しを規定した条文です。
議会は、第1条で定めた本条例の目的が達成されているかを検証すること、その結果を市民に公表することを述べています。検証の結果、制度を見直す必要があれば本条例の改正を含め適切な措置を取ることを述べています。

この記事に関するお問い合わせ先

議会事務局議事調査課
〒372-8501 伊勢崎市今泉町二丁目410番地 議事堂1階
電話番号 0270-27-8806
ファクス番号 0270-21-1100

メールでのお問い合わせはこちら