○伊勢崎市火災調査規程
平成21年12月21日消本訓令甲第8号
伊勢崎市火災調査規程
(趣旨)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)を行うことに関し必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 調査は、火災の原因及び火災により受けた損害を明らかにし、火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(定義)
第3条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 鑑識 火災の原因及び損害の判定のため、専門的な知識、技術、経験及び機器を活用し、総合的な見地から具体的な事実関係を明らかにすることをいう。
(3) 鑑定 火災に係る物件の形状、構造、材質、成分、性質及びこれらに関する現象について、科学技術的手法により、必要な試験及び実験を行い、その結果を基に火災原因判定のための資料を得ることをいう。
(4) 関係者等 法第2条第4項に規定する関係者及び火災の発見者、通報者、初期消火者その他の調査の参考となる情報を提供し得る者をいう。
(5) 調査員 調査に従事する消防職員をいう。
(6) 調査指揮者 調査員のうち当該調査において指揮責任を有するものをいう。
(7) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設けた事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいう。
(8) 建物の収容物 柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物その他バルコニー、ベランダ等に置かれた物をいう。
(9) 森林 森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に規定する森林をいう。
(10) 原野 自然に雑草又は灌木類が生育している土地で、人が利用しないものをいう。
(11) 牧野 主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。
(12) 車両 原動機を用いて陸上を移動することを目的として製造された用具であって自動車、汽車、電車及び原動機付自転車をいう。
(13) 被けん引車 車両によってけん引される目的で造られた車及び車両によってけん引されているリヤカーその他の軽車両をいう。
(14) 船舶 推進機関を有する帆船、汽船及び端舟並びに推進機関を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。
(15) 航空機 航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に規定する航空機をいう。
一部改正〔平成25年消本訓令甲1号・26年4号・令和4年1号〕
(火災の種別)
第4条 火災の種別は6種とし、その内容は次に掲げるとおりとする。
(1) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
(2) 林野火災 森林、原野又は牧野の樹木、雑草等が焼損した火災をいう。
(3) 車両火災 車両若しくは被けん引車又はそれらの積載物が焼損した火災をいう。
(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
(6) その他の火災 前各号以外のものが焼損した火災をいう。
2 前項各号の火災の種別が2以上複合するときは、焼き損害額の大なるものの種別による。ただし、その態様により焼き損害額の大なるものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときは、この限りでない。
(調査の区分)
第5条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分し、その究明する範囲は、次に掲げるとおりとする。
(1) 火災原因調査
ア 出火前の状況
イ 出火原因
ウ 延焼拡大の状況
エ 発見、通報、初期消火等の状況
オ 避難の状況
カ 消防用設備等の状況
キ 住宅防火対策の状況
ク 死傷者の状況
ケ その他必要な事項
(2) 火災損害調査
ア 焼き損害
イ 消火損害
ウ 爆発損害
エ 火災による死傷者
一部改正〔平成25年消本訓令甲1号〕
(調査責任)
第6条 消防署長は、管轄区域内の調査の責任を有する。ただし、別に定める調査の担当区分が警防課のときは、消防長が調査の責任を有する。
一部改正〔令和3年消本訓令甲2号〕
(調査の実施、調査員及び調査指揮者)
第7条 消防長又は消防署長は、火災を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。
2 消防長又は消防署長は、調査員を指定して調査に従事させるものとする。
3 調査は、火災発生場所を管轄する消防署又は分署が行わなければならない。ただし、別に定める調査の担当区分が警防課のときは、警防課及び火災発生場所を管轄する消防署又は分署が行わなければならない。
5 消防署長は、調査上必要があると認めるときは、警防課長に調査員の派遣を要請することができる。ただし、消防署長が不在のときは、消防署又は分署において調査員となる者のうち上位のものが要請を代行するものとする。
6 前項の要請を受けた警防課長は、特に支障がある場合を除き、調査員を派遣するものとする。ただし、警防課長が不在のときは、警防課において調査員となる者のうち上位のものが派遣の決定を代行するものとする。
7 調査指揮者は、調査員となる者のうち火災発生場所を管轄する消防署又は分署の上位のものがなるものとする。ただし、別に定める調査の担当区分が警防課のときは、調査員となる者のうち警防課の上位のものが調査指揮者になるものとする。
8 調査員は、調査に当たっては腕章(
様式第1号)を着用しなければならない。
一部改正〔令和3年消本訓令甲2号・4年1号〕
(調査指揮者及び調査員の心得)
第8条 調査指揮者は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員に対して指導又は助言を行い、調査業務を適切に推進すること。
(2) 資機材を活用して調査業務を行うとともに、調査員の指揮及び安全管理に努めること。
(3) 調査書類作成の総括責任を有すること。
(4) 警察機関その他の関係機関と合同調査を行う場合は、その調整を行うこと。
(5) 関係者に対して、努めて調査内容等について説明を行うとともに、調査の開始及び終了を明確にすること。
2 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。
(2) 調査に際し関係者等の民事的紛争に関与しないように努めるとともに、個人の自由若しくは権利を不当に侵害し、又は調査上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
(3) 関係のある場所に立ち入るときは、原則として関係者の立会いを得ること。
(4) 警察機関その他の関係機関と密接な連絡を取り相互に協力して調査を進めること。
一部改正〔平成26年消本訓令甲4号・令和4年1号〕
(調査の原則)
第9条 調査は、事実の確認を主眼とし、先入観念にとらわれることなく科学的な方法による確認と合理的な判断の上に立ち事実の立証に努めなければならない。
(火災現場の見分)
2 調査員は、火災現場を見分し、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。この場合において、原則として関係者の立会いのもとに行うものとする。
3 調査員は、火災状況の内容を明確にするため、写真により記録するよう努めなければならない。
4 調査員は、実況見分、関係者等に対する質問等による事実等に基づき現場の復元を行うよう努めなければならない。
一部改正〔平成26年消本訓令甲4号・28年6号・令和4年1号〕
(現場の保存)
第11条 消防長又は消防署長は、消火活動が終了したときは、所要の措置を講じた上で現場を保存しなければならない。
(死者を発見した場合の扱い)
第12条 消防長又は消防署長は、火災現場において死者を発見した場合は、所轄警察署長に通報するとともに、必要な措置を講じなければならない。
(質問)
第13条 調査員は、関係のある者に対し質問し、原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。
2 前項により知り得た事実のうち、原因の判定に必要と認められる内容については、第22条に規定する質問調書にその内容を記録しなければならない。この場合において、記録した内容を供述者に読み聞かせるなどし、記載事項に誤りがないことを確認し、任意に供述者の署名を求めるものとする。
(少年等に対する質問等)
第14条 少年(18歳未満の者をいう。)並びに身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に規定する身体障害者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に規定する精神障害者(以下「少年等」という。)の関係する火災で、前条に規定する質問を行う場合には、立会人を置いて行わなければならない。ただし、立会人を置くことで、真実の供述を得られないと判断されるときは、この限りでない。
2 少年等に対して質問を行うに当たっては、その心情を考慮し、十分な理解をもって当たらなければならない。
3 少年等は、現場見分の立会人としてはならない。ただし、年齢、心情及びその他諸般の事情により支障がないと認められる場合は、この限りでない。
一部改正〔平成26年消本訓令甲4号〕
(官公署への照会)
第15条 消防長又は消防署長は、法第32条第2項の規定に基づき、関係のある官公署に対し必要な事項を照会するときは、火災調査事項照会書(
様式第2号)により行うものとする。
(資料の提出等)
第16条 消防長又は消防署長は、調査のために必要と認めるときは、関係者等の了解を得て、資料を提出させ、又は報告を徴収することができる。
2 消防長又は消防署長は、前項の規定により任意に提出させた資料については、資料提出承諾書・受領書(
様式第3号)により処理するものとする。
一部改正〔平成25年消本訓令甲1号・令和4年1号〕
(資料の提出命令等)
第17条 消防長又は消防署長は、法第32条第1項の規定に基づき火災の原因である疑いがあると認められる製品を製造し、又は輸入した事業者に対して必要な資料の提出を命ずるとき、又は法第34条第1項の規定に基づき関係者に対して必要な資料の提出を命ずるときは、資料提出命令書(
様式第4号)により行うものとする。
2 消防長又は消防署長は、法第32条第1項の規定に基づき火災の原因である疑いがあると認められる製品を製造し、又は輸入した事業者に対して報告を求めるとき、又は法第34条第1項の規定に基づき関係者に対して報告を求めるときは、報告徴収書(
様式第4号の2)により行うものとする。
3 消防長又は消防署長は、第1項の規定による命令において資料を提出させるときは、同時に資料提出書(
様式第5号)を提出者から徴し、当該資料に係る所有権放棄の意思の有無を確認しなければならない。
一部改正〔平成25年消本訓令甲1号・26年4号〕
(資料の保管及び返還)
第18条 消防長又は消防署長は、前条の規定により資料の提出があった場合は、提出者に対し資料保管書(
様式第6号)を交付しなければならない。また、資料を保管する場合は、保管票(
様式第7号)を付し、保管台帳(
様式第8号)に必要事項を記載して調査が完了するまで保管しなければならない。
2 消防長又は消防署長は、資料提出者が資料の返還を求めるときは、資料保管書と引換えに返還しなければならない。
(鑑識及び鑑定の依頼)
第19条 消防長は、焼損物件の鑑識に関し、当該物件の製造業者、販売業者、輸入業者その他関係機関に対し調査協力を依頼するときは、火災調査協力依頼書(
様式第9号)により行うものとする。
2 消防長は、関係機関又は学識経験者に対し資料の鑑定を依頼するときは、鑑定依頼書(
様式第10号)により行うものとする。
(原因の判定)
第20条 火災原因の判定は、火災の実況見分、質問その他の関係資料等を総合的に検討し、判定するものとし、物的調査、人的調査による資料により裏付けるものとする。
(火災速報)
第21条 警防課長又は火災が発生した管内の消防署長は、火災の概要を火災速報(
様式第11号)により消防長に速報しなければならない。
一部改正〔令和3年消本訓令甲2号〕
(調査記録及び報告)
第22条 調査員は、調査結果について、火災調査報告書(
様式第12号)に次に定める書類を添付し、消防長又は消防署長に報告しなければならない。
(5) 火災現場写真及び図面
(9) 消防用設備等の設置状況・住宅防火対策調査表(
様式第20号)
(12) 消防小隊出動報告書(写し)
(13) その他火災原因の判定、損害額の認定の根拠となった資料等
2 前項の火災調査報告書に添付する書類は、火災の規模又は出火原因の状況により、一部を省略することができる。
一部改正〔平成28年消本訓令甲6号〕
(火災損害調査)
第23条 消防長又は消防署長は、り災物件を詳細に調査し、火災損害を把握しなければならない。
2 損害額は、火災報告取扱要領(平成6年4月21日消防災第100号消防庁長官通知)に基づき算出しなければならない。
(火災損害申告書)
第24条 消防長又は消防署長は、調査のために必要と認めるときは、り災物件の関係者に対し、火災損害申告書(
様式第23号)の提出を求めるものとする。
(り災証明)
第25条 消防署長は、り災に関係のある者からり災証明申請書(
様式第24号)が提出された場合は、当該火災の焼損状況等の事実に基づき、り災証明書(
様式第25号)を交付するものとする。
(消防庁長官の火災原因調査)
第26条 消防長は、法第35条の3の2の規定に基づき、消防庁長官に対し火災の原因の調査を要請するときは、火災原因調査の要請について(
様式第26号)により行うものとする。
2 消防長は、前項の規定により消防庁長官の火災原因調査が実施されるときは、警察機関へ消防庁長官の火災調査の実施について(
様式第27号)により通知するものとする。
(照会対応)
第27条 消防長は、裁判所、捜査機関等から調査結果の内容について照会があった場合は、その内容について回答することができる。
2 前項の照会に対しては、個人の名誉及びプライバシーを尊重するとともに、消防行政に及ぼす影響に細心の注意を払わなければならない。
(証人出廷等)
第28条 調査員は、自己の担当した調査に関して捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人として呼出し若しくは召喚を受けた場合は、当該出頭要請又は召喚等に係る内容を、消防長又は消防署長に報告しなければならない。
2 調査員は、参考人又は召喚等により、供述又は証言等をした場合は、質問要旨及び供述内容等を、消防長又は消防署長に速やかに報告しなければならない。
一部改正〔平成26年消本訓令甲4号〕
(書類の保存)
第29条 第22条の規定により作成した調査書及び第24条の規定により受理した火災損害申告書並びに当該火災の関係文書を1件の火災ごとに一括して原本として保存するものとする。
(その他)
第30条 この訓令の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附 則
この訓令は、平成22年1月1日から施行する。
附 則(平成25年3月29日消本訓令甲第1号)
この訓令は、平成25年4月1日から施行する。
附 則(平成26年3月28日消本訓令甲第4号)
この訓令は、平成26年4月1日から施行する。
附 則(平成28年3月31日消本訓令甲第3号)
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
附 則(平成28年11月29日消本訓令甲第6号)
この訓令は、平成29年1月1日から施行する。
附 則(令和3年3月26日消本訓令甲第2号)
この訓令は、令和3年4月1日から施行する。
附 則(令和3年9月29日消本訓令甲第3号)
この訓令は、令和3年10月1日から施行する。
附 則(令和4年3月31日消本訓令甲第1号)
この訓令は、令和4年4月1日から施行する。
様式第1号(第7条関係)
様式第2号(第15条関係)
様式第3号(第16条関係)
一部改正〔平成26年消本訓令甲4号・令和3年3号・4年1号〕
様式第4号(第17条関係)
全部改正〔平成28年消本訓令甲3号〕
様式第4号の2(第17条関係)
全部改正〔平成28年消本訓令甲3号〕
様式第5号(第17条関係)
一部改正〔平成26年消本訓令甲4号・令和3年3号〕
様式第6号(第18条関係)
一部改正〔令和3年消本訓令甲3号〕
様式第7号(第18条関係)
様式第8号(第18条関係)
一部改正〔令和3年消本訓令甲3号〕
様式第9号(第19条関係)
様式第10号(第19条関係)
様式第11号(第21条関係)
一部改正〔平成25年消本訓令甲1号・26年4号・28年6号〕
様式第12号(第22条関係)
一部改正〔平成28年消本訓令甲6号・令和3年3号〕
様式第13号(第22条関係)
一部改正〔平成26年消本訓令甲4号・令和3年3号〕
様式第14号(第22条関係)
一部改正〔令和3年消本訓令甲3号〕
様式第15号(第22条関係)
一部改正〔平成28年消本訓令甲6号・令和3年3号〕
様式第16号(第22条関係)
一部改正〔令和3年消本訓令甲3号〕
様式第17号(第22条関係)
一部改正〔令和3年消本訓令甲3号〕
様式第18号(第22条関係)
全部改正〔平成28年消本訓令甲6号〕、一部改正〔令和3年消本訓令甲3号〕
様式第19号(第22条関係)
一部改正〔平成26年消本訓令甲4号・令和3年3号〕
様式第20号(第22条関係)
一部改正〔平成26年消本訓令甲4号・令和3年3号〕
様式第21号(第22条関係)
一部改正〔令和3年消本訓令甲3号〕
様式第22号(第22条関係)
一部改正〔平成26年消本訓令甲4号・令和3年3号〕
様式第23号(第24条関係)
一部改正〔平成26年消本訓令甲4号・令和3年3号〕
様式第24号(第25条関係)
一部改正〔平成26年消本訓令甲4号・令和3年3号〕
様式第25号(第25条関係)
様式第26号(第26条関係)
様式第27号(第26条関係)